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ぼくとレイコさんは東京メトロを乗り継いで、
繁華街の外れにある、
薄汚れた雑居のビルの地階に駆け込んだ。
蜜色のランプに照らされた木のドアを押し開けると、
むせ返るようなインド香の匂いが鼻をつく。
そこはぼくがいつも隠れ家みたいにして使っている、
インド料理の専門店だ。
タキシードを着込んで出迎えるは、
この店の総支配人にして、
出所・経歴一切不明の謎のインド人、
ラフジャラハー・アマー氏。
アマー氏は「お待ちしておりました、
ミスター・ノベタ」と洗練されたブリティッシュ・イングリッシュでそう言うと、
ぼくとレイコさんを、
一番奥のテーブルに促した。
恐らくは真鍮製の、
どこか唐草模様を連想させる曲線的な意匠のキャンドルスタンドに、
白っぽい火が3つ4つと揺らめいているのがみえる。
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