3/3
前へ
/35ページ
次へ
「メールで予約入れといたんだ」。 落ち着かない様子のレイコさんに、 ぼくは片目をつぶって、 にっこり笑ってみせた。 客はぼくらのほかに誰もいないらしく、 事実上の貸し切り状態だ。 レイコさんの椅子を軽く引きながら、 アマー氏は言う。 「こちらにいらしたからには、 もう何も心配に及びません。 事情はミスター・ノベタから、 さきほどメールですべてうかがいました。 当店自慢のインド料理をご賞味いただきながら、 インドへの完璧な逃避行プランについて、 ご説明申し上げましょう。 ご出発からご宿泊まで、 すべて手配を済ませておきました。 あなた方お二人はいま、 最も適切な時期に、 最も適切な助言者を前にしていると言えます」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加