1人が本棚に入れています
本棚に追加
目を開けると、そこには不倶戴天の敵とも言える『やつ』がいた。
『やつ』はいつも、忘れた頃を見計らったかのように現れるのだ。
存在を忘れているわけではない。
それは断じてない。
けれどもどうにも、長い期間目にしなければ緊張感も薄れてしまう。
『やつ』はいつだって、ちょっとした周囲の色に紛れ込んでいるから、気づかずに無防備な姿を晒した状態で対峙してしまいかねない。
今だってそうだ。
私は静かに寝てた。
そりゃあもう一番幸せかもしれない、ふよふようとうとと、ぬくぬくの布団の中にいたのだ。
だからこそ、自分のいきなりの覚醒が異常だと気づいた。
普段、私はこんな目覚め方をしない。 と、言うかできない。
いつも何となく眠いのだ。ぶっちゃけて言うと寝汚い(いぎたない)と言われても仕方ないほど、何処ででも寝る。寝れてしまう。
その私がこの覚醒。
ありえないとしか言いようがない。
最初のコメントを投稿しよう!