第12話 ノンフィクション率98%

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 目を開けると、そこには不倶戴天の敵とも言える『やつ』がいた。  『やつ』はいつも、忘れた頃を見計らったかのように現れるのだ。  存在を忘れているわけではない。  それは断じてない。  けれどもどうにも、長い期間目にしなければ緊張感も薄れてしまう。  『やつ』はいつだって、ちょっとした周囲の色に紛れ込んでいるから、気づかずに無防備な姿を晒した状態で対峙してしまいかねない。  今だってそうだ。  私は静かに寝てた。  そりゃあもう一番幸せかもしれない、ふよふようとうとと、ぬくぬくの布団の中にいたのだ。  だからこそ、自分のいきなりの覚醒が異常だと気づいた。  普段、私はこんな目覚め方をしない。 と、言うかできない。  いつも何となく眠いのだ。ぶっちゃけて言うと寝汚い(いぎたない)と言われても仕方ないほど、何処ででも寝る。寝れてしまう。  その私がこの覚醒。  ありえないとしか言いようがない。
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