第12話 ノンフィクション率98%

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 が、例外はある。  私は『やつ』を含む種が、一瞬硬直してしまうほど苦手なのだ。  周囲の人達が見つけられない所につい視線がいき、見つけてしまう。それぐらい過敏になってしまうのだ。  今も視線のその先に、その姿を視認した瞬間、その一瞬の硬直をやり過ごしても急激な動きをとらない。  いや、とれない。  『やつ』は、こちらが激しい動きを示すとそれに応じたスピードで走るのだ。しかもかなりの確率で突進してくる。あっちも戦々恐々としているのだろうに、何故に種族単位でそのパターンなのか……訳がわからない。  とにかく、とりあえずこの場は離れる。逃げられる恐れがあるからできれば目を離したくないが、素手では立ち向かえない。絶対に無理。  それほど恐ろしいけれども、『やつ』に対しては滅殺あるのみ。  その一選択しかないのだ。 はたして戻ると、『やつ』は少々移動しながらもまだその部屋にいた。  逃がすまじ。
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