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 春が来て、夏が過ぎ、秋を経て、2度目の冬が来た。  家の周りを囲む樹々は枯れたように葉が落ち、そのかわりに白い雪の化粧が施された。ストーブで暖められた部屋と外の冷たい空気の温度差が窓に水滴をつくり、納屋に置いてあった食材は凍らないように冷蔵庫に入れられた。  ヒロアキさんは一日のほとんどを家の中で過ごしたが、日課である朝の散歩だけは欠かさずに外にでた。  いつもは30分ほどしたら帰ってくるのだが、その日は一時間以上も戻らなかった。  最初は朝食が冷めてしまうことを気にしたが、時間の経過とともに不安がつのった。もしかしたら、ヒロアキさんに不測の事態がおきたのではないか。  居ても立っても居られなくなり、外に飛び出してヒロアキさんの姿を探した。  庭の近くにも地下施設の方にもいない。私は大声でヒロアキさんの名前を呼んだが返事はない。最悪のケースを想像して、ぶるりと体が震えた。  街の方に行ったのだろうか。  十字の分かれ道で戸惑っていると、情報を与えられていない一本の道が気になった。その先にヒロアキさんがいるかもしれないが、なぜだかその道は行ってはいけないような気がした。  迷っている場合じゃない。すでにヒロアキさんが外に出て2時間が経過している。 意を決して、情報にない道を走った。
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