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私には基本的な言語機能や身体動作、一般的な家事の仕方などの初期プログラムと、得た情報を記憶し自分でプログラムを書き換える人工知能が搭載されている。
しかし、それは人間と同じように考えて行動できるということではなく、プログラムされていない行動をとることはできなかった。
そのため、不用意の事態に対して行動を停止することがたびたびあった。例えば食材を落としてしまったり、掃除機の稼働範囲を超えてプラグが抜けてしまったり。そうしたことがあると、どうしていいかわからず、動けなくなった。そのたびにヒロアキさんがどうするべきか教えてくれた。
私が生まれて20日目のことだった。
ヒロアキさんの部屋を掃除していると、机にぶつかって上にあったものを落としてしまった。落ちたのは電子式の写真立てで、スラドショーのようにいくつもの写真が投影されていた。
それを拾った瞬間、指先に微弱な電流が流れた。恐らく私の体内の磁気と写真立ての回路が反応して、ショートしてしまったのだ。ディスプレイが黒くなり、写真が現れなくなった。
「どうした?」
私がその場で動けなくなっていると、ヒロアキさんが察して近づいてきた。写真が投影されなくなったことを説明した。
「大丈夫。壊れたわけじゃない。電源がおちただけだよ」
電源を入れると再び写真が流れ、私は安堵した。
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