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「あの、ヒロアキさん」
「なんだい?」
「その写真に写っている人物、私によく似ているように思うのですが」
スライドショーには常に二人の人物が写っていた。一人は髪が黒く、今よりは若いがヒロアキさんだと判断した。そして、もう一人は女性だった。
「ああ、僕の家内だよ。君のモデルは彼女だから、似ていて当然だ」
データベースから家内というのが配偶者を意味していることが分かった。
データベースにはそれ以外にも様々な呼称があった。ツレや相方など一般的ではない言葉。二人の間に子供がいれば、呼称も子供が中心となりお母さんとなったり、孫がいればお婆さんとなったりすることも知った。立場によって呼称は幾通りもあり、それらのすべてを追加した。
「千尋というのだ。30年前に亡くなった」
ヒロアキさんは写真に写った人物を見つめた。何を思っているのかはわからないが、通常より声のトーンが低い気がした。
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