第1章

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目を開けるとそこには驚愕の光景が広がっていた。 平穏な公園、たくさんのモンスターが人と戯れるこの町で二匹のモンスターが一対のカップルとなっている。 このモンスターたちは、人になついたモンスターだ…モンスターを扱う冒険者がこの世界にはたくさんいる。 私もその一人で、相棒と一緒に世界を回っている最中に旅先で休憩を取っていたのだが。 私が持つモンスターが、相手が持つモンスターに一目惚れしたらしい。 最悪であった。 モンスター使い同士は切磋琢磨するライバルでもある。 相手にもよるが、相棒の恋愛沙汰のため敵に頭をほいほい下げるような人間は弱肉強食の世界では生き残れない。 試合ではなかろうが、付き合う条件として八百長試合を申し込まれたらモンスター使いとして死んだも同然だ。 お見合いはするだろうがモンスターと人間が繋がるということは、モンスターが抱く想いも主が背負わねばならないということだ。 この時、主が選ぶ道は大きく分けて二つ。 二匹の仲を応援するか、諦めさせるかだ。 大抵の場合は諦めさせるだろう…モンスター使いはモンスターありきだがそこまで面倒は見たくない。 だが、モンスター使いのモラルとしてはモンスターの意にそぐわぬ行いは最低の行いとされている…モンスター使いとモンスターは名目上は対等の扱いだからだ。 人間はどこまで相棒に譲渡出来るのか…そこまで人間という種は寛大なものではない。 共存共栄とはいっても、しょせんは人間の都合が先に立つのだ…切羽詰まればルールやモラルなんて真面目に守るバカはいない。 でも、幸せそうな相棒を見ていると何としても願いを叶えたくなるのも事実。 私はあらゆる覚悟を頭の中で想定してから、相手モンスターの主を探して話しかけた。
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