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今日お泊まり会に来ていた友人、花が私にのしかかってきていた。
(おかしいな、そんなことする子じゃないのに。)
思えば、昨日から様子がおかしかった気がする。普段は元気なのに、まるで何かを怖がっているような、そんな風だった。
(初めてのお泊まり会だから、緊張してるんだよね。)
そう思って綾は、違和感をごまかしていた。
そこまで思い出した綾は、
(まさか、誰かに取りつかれているとか・・・?)
そんな、最悪の可能性に思い至った。
(確認するしかないよね)
そう、覚悟を決めて
「ねぇ、花?何やってるの?」
そう、問いかけた。
「花?それは、この女の名前か?」
え?まさか、そんなことあるはずはない。あっていいわけもない。
「あなた、一体何者なの!?」
「さあ?我が何者かなど、どうでもいいわ。それよりも我の問に答えよ。」
目の前の花の顔をした何者かからは、見たものを否応なく屈伏させられるほどの圧力が、放たれていた。
「そうよ」
一言、ただそれだけで綾はどっと疲れた。
「ふむ。お前、この女を返してほしいか?」
何者かの口から飛び出した事を聞いて、綾は驚いた。
「え、ええ。出来ることなら、そうしてほしいわ。」
「なら、我の出す条件を1つ満たすことができたら、返そう。」
「条件は、なに?」
「それは──」
ごくり、と私は唾を飲んだ。
「お前が、我を取り入れろ。」
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