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なんでこんな簡単なことに、いままで気づかなかったんだろう。
莫迦な自分に呆れてしまう。
ネットの検索窓に打ち込んだのは、“不藤秀俊”の文字。
不藤先生が専門にしてたのは、臓器移植手術。
発表されてる論文の中には、多臓器移植についてだってある。
ついでに調べたのが、臓器移植を受けた人の、その後の変化。
やはり、味覚の変化等があることがあるってことだけど。
……だとしたら。
私の身体は。
夕飯後、両親を問いつめてみた。
「琢哉はもしかして、生きてるの?」
「なに莫迦なこと云ってんだ。
琢哉さんは死んだとあれほど」
半ば怒ってるいる父に、視線が泳いでいる母。
一度、深呼吸すると準備していた言葉を投げつけた。
「琢哉は私の身体の中で生きてるの?」
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