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――あの事故でひとり助かったなんて信じられない。
だって、身体が潰れてた。
私の身体。
脊髄損傷で足はもちろん、胸から下の感覚はない。
胸の真ん中から下腹まで広がる、大きな傷跡。
内臓破裂で丸一日かかる大手術だったって聞いてる。
損傷が酷く、生命維持に支障のない子宮や卵巣は摘出されたって。
それは確かなことだろう。
でも、本当にそれだけ?
琢哉の幻が見えることを話すと、気のせいだと否定してくる医師。
妙に私、というよりも私の身体を気遣う琢哉の両親。
なにか。
なにかがきっと、隠されている。
「もうすっかり元気だね」
「おかげさまで」
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