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病院に運ばれた、即死のだけど身体が無事な琢哉と、かろうじて生きているけど身体がぐちゃぐちゃな私。
不藤医師の下した決断は、琢哉の臓器をそっくり、私に移植すること。
手術自体がうまくいくかも賭、拒否反応だって賭。
さらには倫理や法的手続きなんかも無視して行う手術だから、明るみになれば社会的罪は重い。
説明を受けた両親は当然、迷ったそうだ。
けれど迷えば迷うだけ、それでなくてもゼロに近い成功率がどんどん下がっていく。
半ばやけくそで私の両親も、琢哉の両親も同意書にサインした。
「そっか。
琢哉は私の中で……ううん。
私は琢哉に、生かしてもらってるんだ」
「……俺たちを恨んでいるだろうな、おまえも、琢哉さんも。
でも、失いたくなかったんだ」
「ううん。
まったく恨んでないとは云えないけど」
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