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泣いている母さんとその後ろのしかめっ面の父さん。
……きっと泣くのを、我慢してるんだと思う。
えっと、あれ?
なんで私、こんなところにいるの?
ここ、病院だよね?
「……わたし……なんで……」
身体と同じで、思うように声が出ない。
考えようとするんだけど、パニックになるばかりでなにもわからない。
「……なんで……どうして……琢哉……」
あれ?
琢哉って誰だっけ?
わかんない、わかんない、わかんない。
耳に蘇るのはがらがらと重く大きな音と、男の人の怒鳴り声。
それが途絶えて一瞬の静けさのあと、空間を切り裂くような甲高い悲鳴が響き、意識は闇に飲み込まれた。
目を開けると琢哉の顔が見えた。
「琢哉」
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