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――ミシミシィ!!
――バキベキベキィッ!!!!
「「「「!?」」」」
気が付くと俺は床の板を踏み砕いていた。
割れた床板から片足を引き抜くと、部屋にいた全員の視線が俺に集まっていた。
ああ、久しぶりにキレちまったよ……。
これほどの怒りはご主人に交際を断られた会社の同僚が腹いせに俺の車体に鼻くそを擦りつけてきた時以来だぜ。
「ヒュー。やるねぇ」
ルドルフが口笛を吹いてはやし立てる。うるさい黙ってろ。
女騎士とゴリラな隊長は敵意こそ見せなかったものの、さり気なく御令嬢を囲って警戒を見せる。
「君は一体何者だ……ッ!?」
領主は俺の行動に目を白黒させていた。俺はそんな領主のおっさんを睨みながら詰め寄っていく。
「おっさん。今すぐにジンジャーを解放しろ。さもなければ、あんたをこの場で轢くことになるぞ」
「ひ、轢く?」
領主は恐怖に震え、ルドルフに視線を向けた。
「ルドルフ君。彼は何を言っているんだ? 君の友達だろう!? 早く止めてくれ!」
「ハハッ、オレがこいつを止める? 馬鹿言うなよ。今の状況でこいつに手出しするメリットがねえよ」
「そ、そんな……」
領主はこの世の終わりを迎えたような顔になった。この場面で伸ばした手を笑いながら振り払われるとか軽く人間不信になりそうだ。
しかしルドルフが介入してこないのは助かる。
俺だってヤツとは二度と戦いたくない。何をしでかすかわからない輩と争うのはデンジャラスだからな。
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