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「なっ、赤い髪のエルフ……!? レグル嬢の話していた招待客と同じ特徴……!?」
やはり領主に話が通っていたか。フードを被ってきて正解だったな。
「俺がエルフとわかったならジンジャーを解放しろといった理由もわかるな?」
「ふんっ、同族を助ける義憤にかられたということか。しかし私は正当な手順を踏んでジンジャーと契約したのだ。いくら同種族だろうと、とやかく言われる筋合いはない」
何が正当か。手順か。ふざけるのも大概にしろ。そう怒鳴ってやりたかったが、ここには討論をするために来たのではない。
「御託はいいんだよ。解放するのかしないのか。さっさと答えろ」
俺は拳をパキパキ鳴らして脅しつける。この怯えっぷりならあと一押しで折れるはずだ――と思っていたのだが、
「解放はできない!」
領主は目に力を込め、ハッキリとした口調でそう言い放った。
なぜそこで強気になる!? さも道理の通った言葉であるかのような開き直り。一瞬向こうが正しいと錯覚してしまったぞ。
「……あまりやりたくないが、痛い目を見てもらうしかないようだな」
マジでこういうのはやりたくないんだけど。早くビビって解放を宣言してくれよ。なんならお漏らししていいから。ちゃんと清掃まで受け持ってあげるから。
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