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『おい、やめろッ! そんなことをしたら――』
周りは俺の何重にも及ぶ予防など知る由もないから騒ぎ立ててくる。
うるさいな。これならきちんと説明してから行うべきだった。集中が乱れる……。
ミシミシと音を立てる奴隷の首輪。ちょっと硬いな。もう少し力を込めて――
「よし、やったぞ……!」
パキンという音を立てて首輪は外れた。光を失っていたジンジャーの瞳に輝きがみるみる戻っていく。
へへん、ざまぁ見ろ。解放してやったぜ! と思って領主を見ると、なぜか彼はほっとしたような表情をしていた。
……どういうことだ? 解放された悔しさよりも、ジンジャーが無事だったことに安堵しているのか?
「……あれ? おかしいですわね」
「ば、爆発はしないのか?」
腰を抜かした御令嬢とそれを支える女騎士が言った。
彼女らは俺とは違うところに疑問を感じていたようだ。そういえば確かに爆発すると聞いていたのに指先が微かに痺れた程度しか何も起きなかったな。
不発だったのか、不良品か何かだったのか。それとも俺のかけた魔法のせいで威力が低下したのか。
……きっとこっちだろうな。
確かに意図した通りの効果だが、上手くできすぎだぜ。
「お前、本当に規格外な野郎だな……」
ルドルフがドン引きしていた。おい、後退るな。
お前まで引いたらなんだか自分が怖くなっちゃうだろ。
……女神様のくれた才能はやっぱり行き過ぎたものなのではないかと思った。
女神基準の『ちょっと』って結構やばい?
ちなみに御令嬢や領主も最初はありえないと驚いていたが、しばらくするとエルフだしそんなものかと納得したらしい。
ここだけは女神様の見込んだ通りなんだなぁ。
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