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「ふん! さっさと出て行っちゃえばいいのよ、この変態!」
発育が進んで酔っぱらいのおっさんどもの見立て通りの美人になりつつある幼馴染みのシルフィが腕組みをしながらしばしの別れだというのに俺を罵倒してきた。
十歳の時、校庭で跨ってもらったあの日以降、彼女はどうにも俺への当たりが厳しくなった気がする。
変態は嫌ということなのだろうか。
いつも一緒にいながら誤解を解けなかったのは何とも残念なことだ。
結局、あれを最後にシルフィは今日まで一度も俺に乗ってくれなかった。
なんやかんやで一番付き合いが長い友人だったので、俺は腕力を鍛えてようやく人を運んで走れるようになった頃、いの一番に彼女をドライブに誘ったのだが、顔を真っ赤にして怒りの張り手を食らわせられて拒否された。
『なんてことを言うの!?』とか涙目で言ってやがったが『俺の上に跨って、新しい景色を一緒に見ようぜ?』というオシャレな誘い文句が癪に障ったのかもしれない。
沸点の低い女だ。いや、もしかしたら彼女は車酔いが激しいのかな。それを恥ずかしがって暴力で誤魔化そうとしたのではないか。
どちらにしても理不尽な話ではあるけど。
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