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里を出てから数時間。
ようやく森を抜け、開けた道に出ることができた。
エルフの里から森を出るまで半日以上はかかると大人たちには言われていた。
これは距離以上に複雑な獣道に足を取られてしまうことが理由なのだが、俺は足元の障害物を容易く踏み潰して進める脚力を持っていたおかげで通常より早いペースで来れたようだ。
「法定速度もないだろうし、初っ端から九十キロくらいだしちゃおうかな……」
街道をまっすぐ辿って行けば最初に訪れることを勧められた町に行けるはずだ。どこまでも続いている整地された道路をキラキラ眺め、走り出す前に屈伸や前屈などの準備運動を行う。
ストレッチを終え、無限の彼方にさあ行こう!
……俺が気持ちを高揚させた直後である。
「ふひひっ。来たな、若いエルフだ。今回は随分早いお出ましじゃねえか」
「男じゃオレたちのお楽しみは少ねえが、美形揃いのエルフはそっちの趣味がある貴族に高く売れるからな」
「この赤髪エルフはいくらで売れるかねぇ!?」
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