閑話 エルフ里の幼馴染み

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 最初はグレンの常識から外れた性癖(勘違いパート2)を理解できず戸惑い、恐怖してしまった。  だが、グレンが他のエルフと違うのはもとからだと思い直し、グレンのアブノーマルな一面ごと受け入れてこそ真の愛であると、シルフィは幼いながらに覚悟を決めて決意したのである(空回り)。  一度、ふざけた言い回しでグレンから交接を迫られたときは(勘違いパート3)ショックのあまり素で暴力を振るってしまったが、彼女は概ね健気な気持ちでグレンに辛辣な言葉をかけてあげた。  シルフィは基本的に穏やかで優しいエルフだったため、時折心を痛ませることもあったがそこは想いの強さでカバーした(空回りパート2)。  素晴らしい勘違い。思い込みによる空回った努力。  誰か事実を教えてやれよと思うが、里のエルフはそもそもシルフィと同じ勘違いをしているので指摘のしようがない。  そんなどうしようもない環境のせいで今日までこの悲劇というか喜劇は答え合わせをされぬまま続いてしまっていた。  おかげで里にいたときのグレンは、他のエルフには物腰柔らかなシルフィがどうして自分にだけは辛辣なのか、そのくせ積極的に話しかけてきて嫌っている感じでもないのはどういうことなのかと常に頭を悩ませていた。  シルフィはグレンがそんなふうに思っているとはつゆ知らず。  グレンもシルフィの意図をさっぱり汲み取れず。  お互いにお互いの真意を理解できないままどちらも思い悩む。  そんな噛み合わない不毛な関係を二人は何年も繰り広げていた。
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