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下卑た笑いが聞こえ、何事かと辺りを見渡してみると、里ではついぞ見たこともないような醜悪な顔面を持った男たち十数人が俺を囲んでいた。
「うわっ、ぶっさ! おえぇっ!」
俺はあまりの不細工具合に胃液を吐いた。
元の世界では割とよくあった顔面レベルだと思うのだが、エルフ基準に慣れてしまった俺にとって彼らのクレーターのようなボロボロ肌やバカでかいニンニク鼻は見るに堪えない代物となっていた。これじゃ女は浮気なんかそうそうしないだろうなと変に納得した。
「てめーらエルフは人の顔を見ると毎回ゲロ吐きやがって!」
「ちょっと美形揃いだからって馬鹿にしてんじゃねーぞおら!」
「野郎の嘔吐シーンなんか見ても嬉しくないんだよ!」
激怒する男たち。その中にこっそり女ならアリみたいなことを言ってるやつがいた。
そいつ、隔離したほうがいいですよ。っていうか、みんな吐いてるのかよ。まあ、そりゃ吐くか。里を出て緊張してるのに早々こんな顔を見せられたら。
……ん、毎回だと?
「ちょっとあんたら、今までにここを通ったエルフとも会っているのか?」
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