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森で保護した奴隷たちは思った通り、奴隷商に無理やり捕まえられた非合法奴隷であった。
なぜあんなところに放置されていたのかは、やはり首輪のせいで記憶が曖昧になっていて確かなことは聞きだせなかった。
ただ、奴隷商人たちは何かに襲われていたらしい。
その正体は不明のままだが、やはりキメラだったのだろうか?
領主に訊くと、王立魔道学園ならキメラに詳しい者がいるだろうから訪ねてみるといいと言われた。
彼も一般常識以上のことは知らないらしい。
役に立たないおっさんだ。
奴隷たちについてだが、彼女らは一部を除いて領主のもとで一時的に食客待遇を受けて過ごすことになった。
一部を除いてと表現したのは二名ほどが解放直後に逃走したからだ。
逃げたのは鱗の尻尾を持った幼女と牛の角の少女の二人。
『妾を奴隷にしようとした連中は許しておけぬ! ぶち殺しにいくのじゃ!』
『あれ? 逃げてもいいの? よーし! 家に帰るぞー!』
彼女らは説得をする暇もなく屋根や窓を破壊して逃げていった。
まったくとんでもないやつらである。また捕まっても知らんぞ。
残ったエルフやダークエルフたちは領主と一緒に王都に行くと約束してくれた。
同じエルフである俺がいたのも大きいと思うが、すんなり同意してくれた。
ジンジャーたちと同じく、重要な証人となってもらおう。
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