831人が本棚に入れています
本棚に追加
/373ページ
さて、ここから王都までしばらくは運転席に誰もいない一人ドライブだ。
少し寂しいな。そんなことを思って走っていると、
「あれ、リュキア……? どうしてこんなところに?」
街道のど真ん中に腕組みをした白ワンピースの幼女が立っていた。緑色の髪がふわふわと風になびいている。
森で出会った日以来の再会だ。彼女も見送りにきてくれたのだろうか? 出立する日は伝えていなかったと思うんだが……。どうやって知ったのだろう。
肉の幼女、リュキアが口を開いた。
「グレンといるとおもしろそうだからいっしょについてく!」
おいおい、一緒にってどういうことだ?
そんなフラグ立ててたっけ?
「そろそろね、ちがうところにね、いこうっておもってたの」
とてとてと近づいてきて、無垢な表情で俺を見上げる。彼女の猛禽類のような瞳はそこに吸い込まれてしまいそうな何かがあった。
これは断れないな……。いや、もともと断るつもりはないけれど。
「……なら、背中(シート)に乗ってくか?」
「のるー!」
俺が背中を指さすと、リュキアは勢いよく飛び乗ってきた。俺はハイエースじゃないぜ。トラックだぜ? そこんとこヨロシクな。
新たな旅のお供を乗せ、人間の黒い欲望が渦巻く(勝手なイメージ)王都へ。
いざ行かん。
最初のコメントを投稿しよう!