盗賊と二号さん

7/16
前へ
/378ページ
次へ
「サラス、ジェロム。終わったー?」  馬車の扉が開かれ、干し肉をむしゃむしゃと咥えた金髪碧眼少女が降りてきた。  二人目の御令嬢の登場だ。どうしよう、レグル嬢とキャラが被るぞ。  人間の顔と名前はただでさえ覚えにくいのに。 「エルーシャ様。こちらのエルフの方の助力もありまして比較的速やかに賊を無力化することができました」  メイドが恭しく頭を下げ、主に俺を紹介する。 「ん? エルフの人が協力してくれたの?」  エルーシャと呼ばれた少女がこちらにブルーの瞳を向けてくる。  ぺたっとした猫っ毛っぽい金髪をツインテールに結んだ髪型。  少女は丸っこく幼い顔立ちながら、貴族の令嬢らしく整った容姿をしていた。 「はい、彼が賊の放った攻撃魔法を打ち払ってくださいました」 「へえ……(もぐもぐ)」  少女が興味深そうに俺を見つめてきた。  だが、口に咥えた干し肉を離そうとはしなかった。  どんだけ食い意地張ってるんだよ。 「こちら、我々のお仕えするニゴー子爵家の御令嬢、エルーシャ・ニゴー様です。そして私はニゴー家にお仕えするメイドのサラスと申します」  メイド……サラスから少女を紹介される。なるほど二号さんか。二人目の御令嬢だから覚えやすくていいな。
/378ページ

最初のコメントを投稿しよう!

833人が本棚に入れています
本棚に追加