盗賊と二号さん

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「エルーシャだよ。なんか助けてもらったみたいでありがとね?」  御令嬢二号……エルーシャ嬢はフランクな挨拶をしてきた。  随分砕けた態度だな。同じ貴族令嬢でもレグル嬢とは印象が随分違う。  令嬢も人それぞれってことか。こういう違いがあると差別化しやすくて助かるぜ。 「お嬢、生かしておいた賊から拠点の場所を訊きだしましたぜ」  騎士、ジェロムだったか? が、ズルズルと何かを引きずってきた。  ジェロムが引きずってきたのは顔面をボコボコにされた盗賊だった。最後に命を取られずに気絶させられたやつか……。  盗賊は両手を後ろに縛り上げられ、息も絶え絶えな死にかけボロ雑巾状態。かなり激しい尋問を受けたようだな。憐れな。自業自得だから知ったこっちゃないけど。 「ほんと? じゃあ早く残りも全滅させに行こ!」  エルーシャは手の平をぽんと合わせて嬉しそうに飛び跳ねる。  目の前の死に体の人間がいるのに気に留めず、無邪気に喜んでいる。  なんや、こいつ……。 「……なあ、全滅ってなんだ?」  俺はショートカットの銀髪メイド、サラスにひっそり訊ねた。 「はい、エルーシャ様と我々はこれから盗賊の拠点を潰しに行きます」 『それがなにか?』って続きそうな感じで言われた。  そんなあっさりしたノリで暴露することじゃねえだろ。  この世界では違うのか? だったらごめん、
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