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「しゃーねえな。オラ、立てよ。アジトまで連れてけ」
ジェロムは盗賊を無理やり立たせて案内役に駆り立てる。
エルーシャにいくら言っても聞かないと諦めたようだ。
「グレン、あのひとたち、どこいくの?」
おんぶされたままのリュキアが半死の盗賊になぜか興味を示した。
「ああ、盗賊の仲間をやっつけに行くんだってよ」
「アレとおなじのが、ほかにもいっぱいいるの!?」
アレ呼ばわりとか何気に辛辣な幼女である。
「いるだろうけど……なんでそんなに食い気味なんだ?」
「グレン、わたしたちもいこう!」
「は?」
謎のテンションアップをしたリュキアに俺は困惑せざるを得ない。
「いや、行く理由がないんだが……」
「いきたい! いきたい!」
背中でグラインドして暴れるリュキア。おいおい、こんな聞き分けのない子だったか?
「……しょうがねえなぁ」
俺は根負けする形でエルーシャたちに同行を申し出ることにした。
まあ、車ってのは運転手の望む先へ運ぶものだし?
『……じゅるり』
耳元で聞こえた、御馳走を前にした舌なめずりのような音は気のせいだよな……?
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