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「なるほど。グレン様は里の風習で世の中を見て回る旅をしている最中だと」
「ああ、その通りだ。いろいろ厄介ごとを抱えてて、それどころじゃないんだけどな」
俺たちはエルーシャ嬢の一行と盗賊の拠点に向かっていた。
まあ最初は同行を拒否されてしまったのだが、そこは俺の巧みな交渉術で覆した。
『これはお嬢様の私用ですのであなた方がついてくる必要はないのですよ?』
『いや、うちのお嬢さん(リュキア)がどうしても行きたいって聞かなくて』
『しかし、戦闘中にあんたらは守れないぜ? 俺らはお嬢の護衛だからな』
『大丈夫だ、俺も結構戦えるから』
そう言って俺はそこらにあった木をいくつか薙ぎ倒して頑強さをアピールした。
実力のわからないやつに助力を申し出られても不安だろうしな。
『すげえな……』
『これはエルフの魔法によるものなのでしょうか……?』
『わあ、なんかすごい!』
彼女らは三者三様の反応を見せ、最後には首を縦に振って同行を認めてくれた。
わざわざ自然破壊した甲斐があったというものだ。
やれやれ、一仕事しちゃったぜ。
里の大人にバレたら怒られそうだけど。
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