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◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ヒャッハー! まんまとカモがやってきやがったぜ!」
「撃て撃て! あいつらはたった五人だ! しかもほとんどがガキだ! 楽勝だぜ!」
「女は殺すな! 楽しみが減るからな!」
ヒュンヒュンと弓矢が俺たちの足元の地面に突き刺さる。
盗賊の拠点があるという岩場付近に辿り着くと、なんと武装した盗賊たちが待ち構えていた。
数は二十人はいるだろうか?
まさか待ち伏せを食らうとは。どうなっている。
「拠点までの道のどこかに見張りがいたみたいだな。襲撃が失敗したときの保険として移動ルートをあらかじめ示し合わせていたんだろう」
ジェロムが特に驚いたところもなく言った。
ちらりと案内役の盗賊を見やると、勝ち誇ったようにニヤついていた。
なるほど、そういうことか。少しは頭が回るみたいだな。
「ふへへッ。不意打ちができなくて残念だったなァ!? お前らがいくら強くてもこの数は無理だろ……」
ボコボコの顔で言われても滑稽なだけだぞ。脅威は感じないが腹立つな。
お前がすごいわけじゃねえだろ。
……あ、危ない。
「ぐえっ」
案内役の盗賊は飛んできた流れ矢が胸に刺さって死んだ。
小物らしい最期だった……。あっけねえ。
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