王都と門番

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 何の話をしたいんだ。もしかして車酔いのことか?   あれは一回吐いたけど、その後は問題なかったよな。 「心配ないだろう。俺も注意を払っておくけど。眠ってるときは案外平気だったぜ?」 「注意を払う……? なるほど、そういうことですか」  サラスが何かに納得したような顔で頷く。いや、どういうことだよ。言葉にしてくれよ。  結局、車酔いの話であってたのか? 「わかりました。それならば彼女のことはグレン様にお任せするとしましょう」 「お、おう?」  言われなくても面倒は見るつもりだったが、わざわざ念押ししてくるとは。  まあ、確かにデリケートな問題だ。  子供とはいえ女子。彼女の名誉のため、再び酸っぱいスプラッシュをしないようマメに休憩をとるなどの配慮をしよう。  頼まれたからにはしっかり役目を果たすぞ。 「……できるだけ刺激を与えないよう、今まで通り自然に接してくださいね?」  サラスが耳元でコショコショと囁く。うあ、吐息が当たってこそばゆい。気を付けろよ、エルフは耳が敏感なんだから。 「任せとけ、上手く立ち回って見せるさ」  リュキアがスプラッシュしても自然体で接するようにするぜ。まったく、心配性だな。メイドという職業柄、彼女の癖になってるのかもしれん。 「本当にわかっていらっしゃるのでしょうか……」  俺を信じろ。
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