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列が進み、いよいよ俺たちの番が来た。
身分証を求められたので冒険者ギルドのカードを提示する。
依頼はリリンと森に行った一回しか受けていないが、こういう時にあると便利なものだ。
なんかペーパードライバーの運転免許証みたいになってんな。
「……ん? その子供は?」
門番を務める衛兵の眼光がリュキアを射抜く。
「俺の連れだが?」
「リュキアっていうんだよー」
リュキアが手を挙げて元気に挨拶する。
「う、うむ? この感じなら気のせいか……?」
門番は考え込むように首を捻ってブツブツ言っている。なんだコイツ。幼女にいちゃもんつけて何を企んでんだ。
「通って問題ないか?」
黙ってたらつまらん言いがかりをつけられそうだ。
俺は強気で押してみた。すると、衛兵はハッと我に返る。
「あ、ああ……すまんな。いいぞ」
歯切れは悪いが言質を取ったので構わず進む。
通行税を払って入場。
ギルドなどの依頼で出る際は構わないが、王都の住民でない者が私用で外に出ると再び入場するにはまた金がかかるらしい。
入場料必須とか、テーマパークかよ。
余計な金を払いたくなければ王都に住めってことか?
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