王都と門番

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 街の中に入った俺たちはレグル嬢の住むテックアート家の屋敷を探していた。  一応、大体の場所は聞いていたのだが、道が複雑すぎてよくわからん。  王都の雑踏は前に進むだけで一苦労。  静謐な森にあるエルフ里で過ごしてきた俺にとっては精神的に気疲れする環境だ。 「えーと、テックアート家、テックアート家はこっちかなーっと」 「グレンぅ、まだー?」  リュキアは再び背中に乗っていた。こんな人混みではぐれると困るからな。  てっきり王都に着いたらまたどこぞへ行ってしまうかと思っていたが、今度は最後までついてくるらしい。  レグル嬢には許可を取らずに連れていくことになるが、子供の一人くらい大目に見てもらえるだろう。 「それにしても……」  人にぶつからないように歩くのは難しい。油断すると相手を跳ね飛ばしてしまう。道路と違って進行方向が一定ではないからな。先程も傲慢そうな大柄の男が道を譲らずに突き進んできたせいで衝突事故を起こしてしまった。  俺は避けようとしたんだよ?  当然のことながら俺は無傷。  相手が一方的に被害を受けただけだったが、普通のエルフならこっちが倒れて怪我してたぞ。  まったく、道では譲り合いの精神が大切だというのに。  ああいう勘違いした輩には困ったもんだ。
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