王都と門番

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「ここであってるのかな?」  一般市民の住む区画とは異なる、富裕層の住宅が並ぶ区域にその屋敷はあった。  この辺りまで来ると一般市民はほとんどいないのですっかり人通りもなくなっている。  時間帯もあいまって、通りを歩いているのは俺たちくらいなものだ。  いやぁ、ここまで辿り着くのにいろんな人間に道を訊きまくって大変だった。  俺はどうやら都会に住むのには向いていないらしい。 「ごうかだねー」 「ああ、そうだな……」  俺たちは頑強そうな門の前に立ち、コンパクトな城っぽい屋敷を見上げる。  レグル嬢の話と王都の住民たちの話を総合すると、この屋敷がテックアート家のもので間違いないはずだ。  うーむ、これと比べたらニッサンの町の領主の屋敷とか鼻くそだな。 「おい、貴様ら一体何の用だ? ここは誉れ高きテックアート伯爵家の所有する屋敷だぞ?」  おのぼりさん全開で見物していると、門の前に立っていた鎧姿の青年が訝しむように声をかけてきた。  役割的に、恐らく門番かな? 槍を持って武装している。  確かにただ黙って見つめていたら怪しいよな。  俺は懐からレグル嬢に渡されていた書状を取り出し、門番に差し出した。御令嬢になくすフリをされたが失わずにちゃんと持ってこれたぞ。  これでスムーズに取り次いでもらえるはず……。 「なんだこれは? 貴様、一体これをどこで手に入れた?」 「はぁ?」
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