王都と門番

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「ふわぁ……」  リュキアが退屈そうに欠伸をする。この幼女、なかなか神経太いな。盗賊を前にしても平然としてたし今更かもだが。  はあ、俺も疲れたよ。  レグル嬢、これからは書状に『本物です』って書いておいてくれ。ああ、家紋がそれを証明するんだっけ? それを疑われちゃどうしようもないな。 「グレン、あんさつしゃなの?」 「違げえよ……」  この門番はリュキアの教育に悪い男だ。  むやみやたらと人に言いがかりをつけてはいけないんだぞ。  反面教師にするなら最高だろうけど。 「ここでオレが優れた騎士だということを証明して、一気に出世街道を駆け上がってやる! 地元で十年に一度の天才と謳われたオレの槍術を食らって手柄となれ!」  エイヤーと門番青年が特攻してきた。その目は野心に満ちて光っていた。  恐らく彼の頭の中では機転を利かせて奸計を見破り、屋敷に入り込もうとした賊を成敗する自分の姿が浮かんでいるのだろう。  偽物を見破ったとなれば確かに大手柄だが、俺の書状が本物だってことを疑いもしない。  エルフだからありえねーって決めつけてる。すごい勝負をかけてきたな。  本物だったときのことを考えていないのだろうか。きっとめっちゃ怒られるぞ。  その思い切りの良さは好感を持てるが、この場合は馬鹿としかいいようがない。  迫りくる槍の先端。よく見て躱して……あれ、見失った! 青年門番による足捌きや体重移動、槍の動きなどは巧みだった。  フェイントを加えられ、俺はなす術なく棒立ちのまま攻撃を受けてしまう。 「討ち取ったりぃ!」 「あ、イテーッ!」  ガツン。と槍が俺の脇腹を小突いた。
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