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馬車に揺られてガタゴト。
体感的に一、二時間ほど。
俺たちは王都の一角にある王立魔道学園に到着していた。
「ぐああ……身体がバキバキだ」
馬車を降りて進展運動と屈伸運動を行う。
遅いわりに振動の激しい馬車の座席は快適とは言い難かった。
「うへえ……ガンガンするぅ」
リュキアも頭を押さえてぐったり気味だ。
フッ、どうよ? 俺の乗り心地のよさがわかっただろ?
リュキアにドヤ顔を向けると白けた目を返された。
なんでだよ。
「グレン様、リュキアさん、こちらです」
身の回りの世話をするためにデックアート家から派遣されたメイドさんが俺たちの身の回り品を詰めたバッグを持って先導してくれる。
このメイドさんは初日に紅茶を淹れてくれたプロフェッショナルメイドさんだ。
自分のことは自分でできると言ったのだが、付き人が実質ただの幼女なリュキアだけでは周囲から侮られてしまうと忠告されたのでこうして同行してもらうことになった。
俺としてはどうでもいい連中から舐められたところで気にしないが、活動に支障がでそうな懸念は少しでも排除しておくべきだろう。
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