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◇◇◇◇
「僕が考案した魔法式に基づけば、魔力の消費量が二割ほど軽減でき、威力もそれほど損なうことなく術が発動できます。それでは見てください。ファイアクロス!」
魔法実技の授業は魔法を教えてもらうのではなく、生徒たち自身が考案した新しい術式や研究成果のお披露目会という感じだった。
発表ごとに教師がアドバイスを送ったり、他の生徒が意見を述べて議論を交わしたりしていくのが全体の流れらしい。
一人ずつ前に出てご高説を垂れ流し、あれこれ見せつけてくるが、もとになっている呪文やそもそもの基準値を知らない俺は見ていてちっとも面白くなかった。
あと、話している連中が顎を若干上げて俯瞰しながら語っているのが地味にウザい。
なんだその得意顔は……。
鼻の穴を見せつけてくるんじゃねえ! ろくろ回すなよ! この平面顔が!
俺は今回初参加ということで見学だけで済んだが、次回からは研究したことをまとめてくるようにと教員から言われた。
何もわからないから教えてもらいにきたのに、なぜ俺がゼロから生み出せると思うのか。
『君はエルフだし、期待しているよ? ふん?』とか、油ぎった黒髪の男性教師に言われたが、知らねえよ!
適当に筋トレのやり方でも披露してやろうか。
『筋肉が増えたら魔法の威力が上がります!』とか言っちゃってさ。
エルーシャに教わったウォーターバレットを全力でぶっ放して披露すればうっかり信じちゃうやつが出てくるかも。
それで筋トレが学園で流行れば学園の淀んだ空気も少しは緩和されるだろう。
よし、そうしてやろう。そう決めた。
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