才媛と塔

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「君らがやっているのは野蛮な兵士がする、みっともない鍛練の真似事だろう? 高貴なる学園の誇りと伝統を汚す行為と言って差し支えないよ」 「言ってくれるのだよ……。いいじゃないか! その決闘、受けてやるのだよ?」  ええっ!? という声がポーンたちから沸き上がった。そりゃそうだろ。  なんで当人たちの確認を取らずに受けちゃうんだよ。 「その代わり、我々が勝利したらこの実験に費やせる経費を五倍に増額するよう、君の実家の名前で学園に進言するのだよ?」  だから勝手に……もういいや。  どうせラルキエリがいなきゃまともに始まらなかった実験だし。  好きに決めてくれ。 「ふっ、よかろう。そんなことは万が一ないだろうが、あれば父上に話を持っていってやるさ。詳しい日程は追って伝える。……いいか、何があっても逃げようとするなよ? 僕は魔術の誇りを冒涜した君たちを許しはしないからな?」  バサァッとローブをはためかせて去って行く。 「ふん、持って生まれた才能だけで苦労を知らない坊ちゃんが。彼には泥臭く足掻かなければならない人間の気持ちが理解できんのだよ」  ラルキエリは忌々しいとばかりに寵児の背中を睨む。  お前も同じような天才じゃないの?  まあ、研究とかで忙しそうだし。  多少は大変な思いをしてるから違うのかな。  打倒ラッセルという目標を掲げることでより一層、熱が入るようになった平民たちの筋トレ。 「おらおら、この雑魚ども! もっと早く走らねーと回復魔法を有料にすんぞ!?」  決闘の噂を聞きつけたルドルフは面白半分でコーチとして実験に顔を出すようになっていた。  あいつも俺ほどではないがそれなりの回復魔法が使えるので班分けした生徒たちを見る役目を任せている。  鬼畜すぎて平民生徒たちから相当恐れられているようだが。  まあ、効率がよくなるのはありがたいことだ。  ラッセル一味との決闘は一週間後。
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