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「悪いことは言いませんから帰りましょう? 道に迷ったなら俺が案内しますよ?」
俺は優しい口調で声をかける。
これから散歩コースになるかもしれん場所で顔見知りの死体が残っていたら歩きづらくてしゃーないしな。
「でもねぇ? 戻っても何もいいことないんだよぅ?」
めそめそ……。
また泣きべそをかきだす。
めんどくせえなぁ。
「わたしねぇ、これでも学校の先生をしてるんだよぅ? でも、生徒のみんなからぁ、なぜかあんまり好かれてないみたいなの……」
なぜか……だと!?
俺は思わず耳を疑った。
「基礎魔法のみんなにはねぇ? わからないことがあったらいつでも質問に来ていいよって言ってたんだよぅ? けど、誰も聞きに来てくれなくてぇ? 最近は……ついに授業にすら来てくれなくなっちゃったの……!」
…………。
彼女は涙でよく前が見えていないのだろう。
俺がその授業をすっぽかした一人であることに気が付いてないようだ。
「おかしいなぁ……これでも頑張ってたんだけどなぁ……どうしてこうなっちゃったんだろ。やっと、先生になれてぇ……みんなと一緒に勉強していけたらいいなぁって思ってたのに。やっぱり失敗ばっかりしてるからぁ……みんな嫌になっちゃったのかなぁ」
失敗とか、そういう次元の話で済むクオリティだっただろうか?
あの授業じゃ見切りをつけられて当然だとは思うが。
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