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「先生がキレイなほうがみんなのやる気が出ると思ってぇ、毎日お化粧とか髪型とか頑張ってセットしてたんだよぉ。みんなが楽しく勉強できたらいいなって、授業中は明るい喋り方を心がけたりもしてたんだよ……」
…………。
「音楽を聴きながらだと勉強の効率が上がるって聞いたら、自分で考えた曲を鼻歌で流して……いろいろ工夫もしてたのに……。ああ……授業じゃない時間でも頼りにされるような、そういう立派な先生になりたかったなぁ……」
しゃっくりをしながら、女教師は言う。
「わたしって……教師に向いてなかったのかなぁ?」
「…………」
「もう疲れたよ……眠ってもいいかな……」
丸くなって永眠モードに突入する女教師。
いや、まだ死にませんから。
俺はお迎えの声じゃないんで。
アレ、ふざけてたんじゃなかったんだ。
真面目にやってるつもりだったんだ……。
つまりこういうことか? 彼女は頑張る方向性を間違えていただけでやる気自体はあったと。
ならば――
「先生は回復魔法を使えますか?」
「ふえぇ……?」
俺は彼女にやり直す機会を与えてみることにした。
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