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案の定、女教師と生徒たちの間にトラブルが起きた。
「何よ、さっきから! がんばれ、がんばれって! こっちは最初から頑張ってるっての!」
ブチキレたのはツインテ少女だった。
息を切らしながら怒鳴っている。
「のほほんと見てるだけで! あんた、あたしたちのことバカにしてるんでしょう!」
「そ、そんなことないよう……? ただ応援したくってぇ……」
「あたしたちは真剣に魔法を覚えたいの! あんたのいい加減な授業で無駄にされた時間を取り戻して、期待して送り出してくれた地元の皆に報いたいの!」
「い、いい加減だなんて……」
「だったら、あんたも筋トレやってみなさいよ!
「あう……」
「グレン君が言わなきゃ、あんたが近くにいるだけで我慢ならないっていうのに……」
女教師を庇う生徒は誰もいない。
気まずそうに目を逸らす者はいるが、ツインテ少女を諭す者は皆無だった。
つまり、女教師が目障りだというのは彼女らの総意なのだ。
「できないでしょ? お高くとまってるあんたに、才能のないあたしたちと同じ泥臭いトレーニングができるわけ――」
「や、やるよぅ! 先生もぉ、みんなと一緒に筋トレェするよぅ!」
「はっ? あんた、ほ、本気なの……?」
「ほんきだよぉ!?」
そういうわけで、女教師も筋トレをすることになった。
拡がっていく筋トレの輪。
いい汗かいてくれよ。
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