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◇◇◇◇◇
翌日。
「いちにーさんしーとーらっく!」
「にーにーさんしーとーらっく!」
「さんよんーさんしーとーらっく!」
掛け声に合わせてグラウンドの外側をランニング。
「よし、この次の周でひとまず休憩だ!」
俺は彼らの後方をついて走り、数分おきに回復魔法をかけてやっていた。
これなら膝や腰を痛めずに長時間走ることができる。
もうすでに何十キロ走っただろうな……。
女教師も死にそうな顔になりながら最後尾をヘロヘロくっついていた。
今日はちゃんとジャージを着ている。
購買で買ったんだろうか。
ちょっとずつ受け入れてもらえるといいよな。
「次に前回の授業で僕の考案した魔法式の改良系を――」
「その術式の属性付与の記号には非合理的な要素が含まれるのでは――」
グラウンドの中心では魔法実技の授業が行われていた。
いつか自分たちもあそこに……そう思いながら平民生徒たちは身体を鍛えてるのだ。
ランニングを終え、グラウンドの隅っこで休憩中。
「ふん、落ちこぼれどもが学園の品格を貶めるような真似をいつまでやるつもりだ?」
授業を終わらせた魔法実技の教師が絡んできた。
今日も変わらず髪の毛がべたっとしている。
「はあ、ここはなんだか臭いな。魔術を極める者として、知性の欠片もない連中はこうも野蛮な汗を滴らせているものなのか」
魔法実技の教師は鼻を摘まみながら嫌味全開で嘲笑ってきた。
運の悪いことに、ラルキエリもルドルフも違う班を見ていてこの場にいない。
エルーシャも自分の授業を受けているので不在。
ひょっとしたら、だからこそ魔法実技の教師はあえて今突っかかって来たのかもしれない。
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