信頼と挽回

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 …………。 「がんばる方法がわかってればぁ……成長できるんですぅ! えいえい、ぽかぽか!」 「いたっ、やめろ! 叩くな! ちっとも痛くないけどやめろ! 鬱陶しい!」  相変わらずブリブリなのはうざったいが、それでも基礎魔法の生徒たちを庇っている。  ポーンやツインテ少女ら、生徒たちは困惑して眺めているだけしかできない。 「今まで結果がでなかったのはぁ……全部ぅ、わたしが悪かったんですよぉ? だからみんなを責めないでぇ……わああぁん……」  めそめそ、しくしく……。  女教師は泣き出してしまった。  どうすんだよ、これ……。  やがて、騒ぎを見つけた他の生徒たちが野次馬のように集まってくる。 「おい、あの先生、泣いてるぞ」 「もしかしてゼブルス先生が泣かせたの?」 「あの陰険な男、やっぱりそういう性格だったんだ」 「自分より若い女教師をいじめるとか趣味悪くねーか?」  ヒソヒソヒソ…… 「なっ、私は……!」  魔法実技の教師は一瞬で悪役にされていた。  やっぱり見た目の清潔感とかって大事だよね。  若くて美人な女教師と髪がべたべたした不潔な男。  傍目から見てどちらが悪に見えるかと言えばまあ後者なのである。  次々と刺さっていく非難の目線。
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