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フィールドの上で睨み合う、フィーナとマカセーヌという相手の貴族生徒。
「頼んだのだよ……フィーナ……」
ラルキエリがぎゅっと手を握りしめ、従者であるフィーナの背中を見守る。
大丈夫だ。相手のペースに飲まれず、こっちの戦い方を貫けば心配ないさ。
「有効と見做されるのは魔法による攻撃だけ。魔法を用いない直接攻撃は禁止です。それでは位置について、互いに礼!」
審判が注意事項を告げ、試合開始を合図する。
ワアアァァ――ッ!
会場の声が沸く。
「うぉおおぉおぉおぉおおっ!」
ズダダダダダダダッ!
開始早々、フィーナは全速力で貴族生徒に突撃していった。
いい走りっぷりだ! スタートダッシュは成功だな!
「な、なにぃ!? 距離を詰めてきただと――ッ!?」
詠唱を唱えようとしていた貴族生徒は想定外の動きに取り乱す。
聞いた話だと、決闘のセオリーは適切な距離を取ったまま呪文を早く唱えてどれだけ正確に撃てるからしい。
いきなり突っ込んできたら意味がわからないだろう。
「まさか勝てないからって暴力で鬱憤を晴らすつもりか!? なんという姑息な……! 早く術を……あれっ? あれっ?」
貴族生徒は慌てているせいで魔法に集中できないようだ。
これはチャンスだぞ!
あと、こっちは鬱憤も晴らすが勝負を捨てるつもりもない。
「こ、この! 来るな! 来るんじゃない! 直接攻撃は反そ――」
ボッ! フィーナは拳に炎を纏わせて……。
「おら~っ!」
強靭な足腰と鍛えた二の腕、体幹が繰り出すストレートパンチが決まるッ!
「ふごへっ!?」
顔面を殴られた貴族生徒は情けない声を出しながら後方に吹っ飛んだ。
「「「…………」」」
ぴくぴく……ぷしゅぅ……。
気絶して倒れた対戦相手ことマカセーヌ。
開始数十秒でのノックアウト。
静まり返る競技場。
「ウィィィィイイイィイィイイィイ――ッ!!!!!!」
どよめきのなか、フィーナは天を指さし勝利の雄叫びを上げた。
やったぜ。見事な完全勝利。実に圧倒的だった。初戦を取れるとは幸先いいな!
俺は頷きながら称賛の拍手を送った。
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