決闘と成果

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 フィーナに瞬殺された貴族生徒マカセーヌは泡を吹きながら担架で医務室へ。  そのままの勢いで二回戦……は開始されず。  現在、決闘は中断され、審判団を交えて審議が行われていた。 「だから、さっきのは魔法じゃなくて直接攻撃だろ!? 反則だ! この卑怯者!」 「あれは立派な魔法による攻撃なのだよ!? 言いがかりはやめるのだよ? この浅学者!」  ラッセルとラルキエリが激しい剣幕で主張をぶつけ合っている。  負けたからっていちゃもんとは。  ダサい男め。  鮮やかな勝利にケチをつけるなんて無粋だぞ。 「フィーナ? もう一回、さっきの術を再現して見せるのだよ?」 「はいですよ! ふんっ!」  ボッ! フィーナの右拳が魔力で作られた炎で包まれる。  それを間近で見た審判の魔導士たちはおおっと声を上げた。 「「「ほう! これは!」」」 「この通り、実際に相手に衝撃を与えたのは魔力によって生成された炎なのだよ? これを手に纏いながら叩き込んだのであって、フィーナは決して魔力を用いない直接攻撃を行なったのではないと断言させていただくのだよ?」  ラルキエリが審判たちに向けて説明を行なう。 「なるほど、これは炎の魔力を纏って……おお、随分と魔力濃度が高いな!」 「むむぅ、フレイムウォールの簡易版なのか?」 「だが、限定的で範囲が狭い……。遠距離に展開することはできないのかね?」 「拙い魔力操作でも実用に耐えられるよう、遠隔的な操作性は排除してあるのでは?」 「なるほど! だから平民の生徒でも無詠唱で即時展開できたのだな」 「この術は繊細なコントロールより、魔力の単純量が肝のような気がするね」 「従来の魔法とは方向性が違うようだな……」  審判の魔導士たちは審議から次第にフィーナの使った魔法の仕組みや有用性についての談義に移行し始めた。  彼らも普段は魔術を追求する者。  今までのアプローチと違う形態の魔法に興味が湧いたのだろう。
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