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あーだこーだ、あーだこーだ……。
いや、研究熱心なのはいいんだけどさぁ……。
「そろそろ結論を出してもらおうか!」
グダグダになりそうだった審議にラッセルが割って入った。
「魔法を武具のように身に着けて自らが前に出て戦うなど魔導士の戦い方ではない! 相手を殴りつけるという野蛮な行為に魔法を介在させるなど、知恵を探求する魔導士に相応しくないのは明白! これを魔法による攻撃と認めるのは我々に魔法を授けてくれた神や精霊に対する冒涜と言っても過言ではない!」
「ほう、では攻撃魔法の定義とは何なのだよ? もし、攻撃魔法が一定の離れた距離から放つものに限定されるというのなら、それは確かに反則ということになるがね? だが、君は使い方が気に入らないというだけで同じ魔法によって生みだした力を差別するのかね? 自分の好みに合わない魔法を魔法と認めないのは驕りではないのかね?」
ラルキエリの煽りは前に食堂で驕りが過ぎると言われた意趣返しだろうか。
「僕は魔法に対する侮辱行為だと言っているんだッ!」
「やれやれ? 屁理屈か? なのだよ?」
「屁理屈は君だろう!」
ぐぎぎ……と睨みあい、ラルキエリとラッセルは審判団に目を向ける。
「こんなものは無効だろ!?」
「有効なのだよな?」
「「「ふぅーむ……」」」
そして、結論は下された。
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