決闘と成果

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『検証の結果、先ほどのフィーナ生徒の攻撃は有効と見做します』  魔法による拡声で会場内にアナウンスが流れる。 「あれが魔法だというのか! ただの暴力じゃないかッ!」  決定を聞いたラッセルは頭を掻き毟りながら悔しそうに地団太を踏んでいた。  審判の魔導士たち、探求心が上回ったな……。  否定したら研究対象にしにくくなるからね。  柔軟な発想の魔導士たちが審判でよかったわ。  ちらっと教員席を眺める。 「くそっくそっ!」  そこには苛立った様子で自分の膝を叩くゼブルス教諭がいた。 「…………」 「……はっ」 「…………」 「な、なかなか斬新なことを思いつくものですなぁ!? わははっ!」  隣に座るエルフ校長が無言で眺めていることに気が付き、彼は脂ぎった髪を撫でながら慌てて取り繕っていた。  ラッセルの抗議を退け、無事にフィーナの勝利は確定となった。 「フィーナ、よくやったのだよ?」 「はいなのですよ!」 「さすがね!」 「すごいよ……バナナ食べる?」 「僕たちも続かないと!」 「おめでとうだよぉ!」  俺たちは遅ればせながら勝利の喜びを分かち合う。  最初に勝てたことで自分たちはやれるという自信が皆に沸いてきた。  この調子でガンガンいきたいね。 「ところでラルキエリ、もうひとつの効果については説明しなくてよかったのか?」 「ああ、もし審判が納得しなければ開示もやむなしだったがね? そうするまでもなかったし、決闘が終わった後にでもゆっくり報告するのだよ? 勝負の最中にネタをすべて曝け出してやることはないだろう?」 「ふっ、それもそうだな……」  俺たちはニヤリと笑いあった。
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