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二戦目はポーンが出場した。相手は貴族の女子生徒。名前は忘れた。
「わたくしは平民ごときに絶対負けたりしませんわ! 華麗な魔術で粛清して差し上げます!」
「おりゃああ!」
ズダダダダッ!
「ひっ……!」
ポーンが目の前で手を振り上げただけで女子生徒は場に縫い付けられたように硬直した。
パチィーンッ!
バシャッ!
「へぶッ!?」
平手に水を纏わせたポーンのビンタで女子生徒はあっさり意識を失った。
いや~快勝快勝。
「あへぇ……あへぇ……」
負けた女子生徒はどことなく恍惚に満ちた表情で担架に乗せられていく。
なんか、禁断症状的なアレっぽい……。
濃い魔力の刺激が変なふうに響いちまったのか。
何かに目覚めないといいけど。
ポーンも若干引いた顔で叩いた手を握っていた。
三回戦はツインテ少女が出場だ。
相手はハムファイトとかいう貴族の男子生徒。
フィールドを挟んだ向かい側ではラッセルがハラハラした表情になっていた。
連敗で試合前の余裕が嘘みたいになっちまったな。
ざまぁない。
このまま三連勝で俺たちのストレート勝ちかね?
あらかじめオーダーは提出済みなのでラッセルは大将戦以外で出てくることはできない。
本当はあいつを完膚なきまで叩きのめしたほうが後腐れなく済むのだが……。
む……?
ツインテ少女と向き合った貴族の少年が歪んだ笑いを浮かべているような?
何やら不穏な気配がする……。
そして、三回戦が始まった。
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