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「ご、ごめん……グレン君……みんな……あいつが、反抗したらあたしの村を……って……」
ツインテ少女に駆け寄ると、彼女はぐったりしながら申し訳なさそうに言う。
「よく耐えたな、ゆっくり休んどけ」
卑劣な魔法攻撃を何度も浴びた彼女の制服はボロボロだった。
俺は回復魔法をかけながら上着をそっと被せてやる。
身体は回復しても気力は尽きていたのか、ツインテ少女は安心した表情で静かに目を閉じた。
「…………」
「…………」
「…………」
ポーンたちは何ともいえない面持ちになっていた。
先程までの戦勝ムードはどこへやら。
せっかく貴族生徒たちを実力で追い詰めて自信を持ちかけていたのに。
ここにきて抗えない身分の差を見せつけられ、再び負け犬根性が出始めている。
くそっ、やってくれたな。
次の貴族生徒も同じような手を使ってこないとは限らない。
無抵抗で小デブが痛めつけられるなら四戦目は棄権させたほうがいいかもしれん……。
幸い、こっちは二勝してる。
俺が相手の大将ラッセルをブッ飛ばせば最終的な勝利は俺たちのもんだ。
「ラルキエリ、次の試合なんだが……」
「グレン君、アレを見るのだよ?」
「ん?」
ラルキエリに言われて目線をやる。
そこには女教師が飛び跳ね、大きく手を振って呼びかけている姿があった。
審判団も集まって何やら騒々しくなっている。まさか抗議が通ったの? マジで?
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