精霊と決着

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「風の精霊よ。僕に真実を教えておくれ……」  ラッセルが手を前方に伸ばしながら囁いた。  輝く粒子が溢れて彼の全身を覆いつくしていく。  綺麗な光だな……。女神様がいた部屋を思い出す優しい光だ。 「ふむふむ……なるほど……」  目を閉じて見えない何者かと対話するラッセル。  こっちには何も聞こえないが。  祝福を受けている彼にはいろいろ聞こえているのだろう。  やがてラッセルの輝きが収まった。 「どうでしたかな?」  審判の一人がラッセルに訊ねる。 「まさか……ハムファイト君が不正をしていたなんて……」  精霊からすべてを聞いたらしいラッセルは頭を抱えながら崩れ落ちた。  あの落ち込み具合からして彼は関与しておらず、ハムファイトが独断で決めたことのようだ。  明らかに不自然なキョドリっぷりを見ていながらよく信じていられたもんだよ。  やっぱり、ラッセルってバカだったんだな……。 「なんと! これは由々しきことですぞ……」 「とりあえずナイトレイン校長に報告を……」 「まったく、とんでもないことをしでかしてくれたもんだ……」  事実を聞いた審判たちが対処のため速やかに動き出す。  おうおう、大事っぽい感じになってきたじゃないの。  つか、精霊が言ってたよってだけで証拠になるのか。  それも不思議な気分だな。 「当然なのだよ? 精霊は神にも通ずる高尚な存在。その寵愛を受けた者が名代として告げた言葉は何よりの信憑性を発揮するのだよ? そもそも精霊というのは天界の――」 「とにかく信頼度抜群ってことなんだな?」 「…………」  なぜかムッと黙り込むラルキエリ。  さては簡潔にまとめた俺の頭脳に嫉妬したな?
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