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「俺はお前を倒して勝利を掴み取る。悪いが、お前には実力で負けたという事実を大衆の前で晒してもらう」
「ふっ、大層な自信だ。けど、そうか、ならば何も言うまいよ……せめていい勝負ができることを祈るとしよう」
どことなく楽しそうにラッセルは言う。
「そういえば、まだ君の名前を訊いてなかったね。よければ教えてもらえないか?」
「俺はトラック……エルフのグレンだ」
おっといけない、また間違えた。
「そうか、トラックエルフか……君は新種のエルフだったのだな……」
ラッセルが得心顔で頷いた。やれやれ、今回も誤って覚えられちまったか。
「では、僕も改めて名乗ろう。僕はラッセル・マーサカリィ! マーサカリィ侯爵家の長男にして、数多の上級精霊から祝福を授かりし者!」
大仰な言い方でラッセルは俺に名乗った。
ラッセル・マーサカリィ、精霊の祝福を受けた男。
……って、ラッセルの家って侯爵かよ。
上から二番目くらいにすごいんじゃなかったっけ?
テックアート家の名前出さなくてよかったわ……。
レグル嬢の家は伯爵だもんな。危うく迷惑かけるところだったぜ。
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