精霊と決着

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 審判の合図が告げられ、試合が開始する。 『精霊から祝福を受けた彼の精霊魔法は他の魔導士の魔法とは性質が違う。いくら君がエルフとはいえ、油断は絶対にするのではないのだよ?』  直前でラルキエリに言われた注意を思い出す。  油断するな……か。  一体どうすれば油断してないことになるのだろう。  俺が逡巡していると『何やってるのだよ!?』とラルキエリが悲鳴に近い声で叫んでいた。  何って、ちゃんと油断しない方法をだな……。 「精霊たちよ! 僕に力を!」  前を見ると、ラッセルがすでに詠唱を終えて魔法を放つ準備を整えていた。  うむ、早い。今までのやつらとは格が違う。  先手を取られてしまったか。油断する暇もなかったな! 「僕の魔導士の誇りにかけて、君を正しき道に導いてやろう……」  ラッセルは不敵に微笑みながら俺に杖を向けてくる。  この澄み切った魔力の質は……。確かにルドルフや他の魔導士たちのものとは全然違う。  さて、どんな魔法を使ってくるのだろう? 「『スピリチュアル・バレット』」  カッ! ラッセルの指先から眩い光球が発射され――ぽしゅんっ。 「…………?」  ラッセルの魔法は俺にぶつかる直前で消失した。  なんだよこれ。期待させておいて。身構えてたのに届いてすらこないじゃねえか。
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