子爵家と民族競技

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子爵家と民族競技

 ラッセルとの決闘に勝利し、無事に筋トレを広めることに成功した俺は魔道学園にきた本来の理由を思い出して焦っていた。  やべえよ……やべえよ……。  学園にいる奴隷商人の関係者を探すためにここへ潜入したというのに。  テックアート家に学費や生活費を出してもらって得られた成果が学園に筋トレを流行らせただけとかダメだろこれ。  どうしてこうなった?  一体、いつから筋トレを普及させることがメインになっていた?  どうしよう、ディオス氏やレグル嬢に顔向けできねえぞ……。  くっ、運転手にハンドルを委ねず自らの意思だけで行動を制御するのは難しいな。  知的生命体として生きるにはトラック時代には無用だった精神面でのドライブテクニックが相当に求められている気がする。  のほほんと生きていても支障がなかったエルフ里では顕在化しなかった魂の性質上の問題点が人間社会に出てきたことで浮き彫りになった気がした。  兎にも角にも――  今は遊んでいた時間を挽回しなければ。  ここはメイドさんにアドバイスを求めるとしよう。  彼女なら何か打開策を教えてくれるに違いない。
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